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01
わわわ、き、騎士様!?もしかして騎士様ですか!?お久しぶりです、フィトです…!
騎士様、それ以上農場に近づいては危険です…!今ここは大変なことになってるんです!
02
実は農場の果実たちが、一斉に凶暴な《魔果実》になっちゃって…!
フィトは農場の管理を任されているのですが…
魔果実達が暴れ出して、もうどうしたらいいかわからなくて…!

フッ…そう、魔果実とは非常に危険な実…。
03
だが、それゆえにッ!極上の食材とも成り得るのだ!!
ひゃああ!?だだだだれですかっ、あなた!?騎士様、お知り合いですかぁ!?
フハハハハ!また会ったな、騎士!
覇食帝カイザ…ここに推参!讃えよ、オレは戻って来た…!!
04
全ては料理の道を究めんがため!オレの次なるターゲットは…この魔果実だ!!
ひいっ!ま、魔果実…!?まさか、料理しちゃったんですか!?な、なんてことを…!
さあ騎士よ、魔果実で作ったチョコレートだ。究極の味…堪能するがいい!
>食べない
05
フハハハハ、遠慮をするな騎士よ!
覇食帝カイザの料理を口にできる…
その歓びのあまり、つい尻込みしているのだろう?フフ、わかるぞ…。
だが、オレはあえて!その栄光をキサマに与えてやろうというのだ!
さあチョコを食え、騎士よ!

>食べない
06
フッ…なるほど、わかったぞ騎士よ。キサマ…こういうことか!




07
はい、『あーーーーーん♪』ッ!!

08

09
10
11
騎士!
12
よかった、目を覚ましましたね!大丈夫ですか?身体にどこかおかしなところは…!?
あなたが突然倒れてしまったので…居てもたってもいられず来てしまいました…!

13
騎士さま…大丈夫…?魔果実チョコ、そんなにヒドイ味だったの…?
…え?おいしかった、の…?気を失うくらい…?ほんと…?

14
フハハハハハ、当然よ!このカイザの作ったチョコなのだから!
だが農場の奥には、さらに危険で…そして極上の食材と成り得る魔果実があるという…!

フッ、さっそく探しにいかねばな!ハーッハッハッハッハ!!
15
極上の、食材…やっぱり…魔果実なら、
オトモダチがウレシイでいっぱいになるチョコ、作れる…?
…私も…農場の奥、行かなきゃ…。

16
ちょっ…カイザさん、スピネさん!?中は危険…ああ、入ってっちゃった…!
うぅっ…フィトはそれよりも…農場を元に戻してほしいのにぃ…!
…えっ!?騎士様が農場を元に戻してくださるんですか!?

17
あ、ありがとうございます…!
きっと農場の奥に、果実たちが変貌してしまった原因があるはずです!

それを突き止めればいいのですね?
…騎士、私もあなたの守護神として、お手伝いいたしましょう。

18
…あ、け、決してチョコが作りたいとかそういうのではありませんよ!?
こほん…さ、さあ騎士!スピネさん達も放っておくのは危険です。
早く追いかけましょう!



19
へへっ、噂に聞いてた魔果実…ここにあったのか!ようし…集めるぞ…!

20

005A
うん?グルメコロッセオの壊滅と共に死んだはずのオレが、何故生きているのか…だと?
フ…確かに例の爆発で、オレの命は尽きようとしていた…
だが、そこに一匹の悪魔が通りがかったのだ。奴はオレを喰おうとしていた…。
005A2
この!覇食帝と呼ばれたカイザが!通りすがりの炎の悪魔なぞに食されるなど!
そんな侮辱があってよいものか!?答えは否、断じて否だァッ!
身体は壊れ、意識も失いかけていたが…それでも譲れぬもののため、
気づけばオレは料理をしていた。喰ってやったのさ…悪魔をな。
そして気づいたのだ…オレはまだ倒れるわけにはいかん。
敗北を乗り越え、更なる料理の地平へと辿り着くまでは!!

005C
喰ったのはどうやら炎を操る悪魔だったようでな。
このように炎も吐ける便利な力を手にしたぞ。ボァーッ!フハハハ!ウェルダンにしてやろうか!
オレはこの力と、騎士、キサマらに与えられた敗北を糧に、
更なる究極料理を生み出してゆくつもりだ…。
まず手始めに…そう、チョコレィィトッ!!
005C2
口にしたものの心を惑わし、時には虜にもしてしまうという…
フッ、まさに究極の名に相応しい料理だ!オレはチョコレートを作るぞ、騎士ッ!!
この農場の魔果実こそ、オレの作る究極のチョコレートの材料に相応しい…
どんどん集めるぞ、騎士よ!さあ、このカイザに付いてくるが良い!

010A
果実が凶暴な声を上げて…!
こ、これが魔果実化するということなのですね…なんて恐ろしい…。
でも…たしかに、おいしそう、かも…。
これで作ったチョコレートなら…ヴァンピィたち、喜んでくれるかな…?
010A2
騎士さまも…どう?
この魔果実で作ったチョコレートなら…ウレシイって気持ち、たくさん感じてくれる…?

騎士!?首を縦に振ってはいけません!
あなたがお優しいことは知っていますが、身体は大事にしましょうね!?
今は特に内臓を労わって!
010A3
コホン…え、ええと…その、
スピネさんはお友達にあげるチョコレートを作るために、この果実農場を訪れたのですか…?
うん…ヴァンピィとサフィラと、騎士さま…
みんな、いつも私にウレシイって気持ち、たくさんくれるから…そのお礼に、と思って。
いっぱいいっぱいウレシイ気持ちになってもらえるように、
特別なものが作りたかったから…魔果実のこと、調べたの。
010A4
…正直な話そこでどうしてこの恐ろしい魔果実なのか、
と申し上げたい気持ちは山々ですが…と、友達想いなんですね、スピネさんは!
あ…アイテールさん、うしろ。果実、襲ってきてるよ…?
えっ!?あっ、いたいですいたいです、翼に噛みつかないでくださいっ…!
き、騎士、すみません、少し手を貸してください…!
010C
ふぅ…あ、ありがとうございます、騎士。
アイテールさんは、ヴァーレリア国の守護神、なんですよね…?それがどうして、果実農場に…?
あ、いえ、私はただ、
騎士がカイザのチョコを食べて昏倒していたのを見て、居てもたってもいられず…。

010C2
アイテールさん…そんなにいつも騎士さまのこと見守ってくれてるんだ。
守護神さまがそばにいるなら、騎士さまも安心だね…ふふふ。
あれ…?でも、じゃあアイテールさんは…チョコ、作らないの…?

チョコ、ですか…?い、いえ、私は誰もを平等に見守る守護神ですので
騎士一人を特別扱いしているつもりは無論ないのですが…

010C3
でも騎士はいつも本当によく頑張っていますし
日頃のお礼という意味で騎士にお渡しするのはやぶさかでないといいますか…その…。
そう…じゃあ、一緒に魔果実集め、がんばろうね…。
は、はい、ありがとうございます…って、あ、いえ!
わ、私はあくまでも農場を元に戻すためのお手伝いをですね…!
そういえば…あんまりお話ししたことないけど…チョコができたら、ルチルにもあげようかな…。
015A
あっ!なあ、お前たち!その手に持ってるのは、もしかして魔果実じゃないか?
む!?なんだキサマは…?その姿…風の天使か?
俺はレザン!変な翼のオッサンの言う通り、風の天使だけど…
まあ天界は飛び出してきちまったから、天使とかはもうあんまり関係ないんだ!

015A2
へ、変な翼のオッサン…だと…!?
そんなことよりもさ!俺、ワケあって魔果実を集めてるんだ。
なあ、お前たちたくさん持ってるんだろ?ちょっと分けてくれよ!

フ…フフ…フハハハハ!アハハハッハ!笑止千万!この魔果実は全て、
このオレが作る究極のチョコレートの材料に使われるのだ!そう運命づけられているのだよ!
おいおい、ケチなこと言うなよ~。ちょっとくらいいいだろ?
な、そっちの古臭いモン持ってる嬢ちゃん!
015A3
…今の…もしかして、私のことなの…?
うわわ、な、なんだよ!怖い顔すんなって!
んー…じゃあさ、そっちの羽が多くて邪魔そうな姉ちゃん!
015A4
なっ…こ、この白き四枚羽はヴァーレリア守護神たる証の大切な…!
あ、あなたのような人に渡すものはありません!お帰り下さい!
なんだよ、どいつもこいつもケチだなぁ…。
いいぜ!力づくで奪えってことだろ!

015C
お、おいおいおい…スッゲーな、なんてこった…!
フン!この覇食帝カイザに楯突くことの無意味さにようやく気付いたか…
ならば跪くがいい!!フハハハハ!!

アーティファクトたちは、みんな私の意のままに動かせる…
あなたになんか、絶対負けないんだから…。

無礼を許しましょう、天使レザン。謙虚な心を持ち、悔い改めなさい…。
015C2
スッゲー…ほんとスッゲーよ、なんてかっこいいんだ…そこの騎士サン!
…え?
俺、アンタみたいに強くてキマっててかっこいいヤツに出会ったのは初めてだよ…!
ヘヘッ、天界を飛び出してきた甲斐があったぜ!!
この農場の果実を使えば、相手を自分の意のままにできる
お菓子が作れるって聞いて来たんだが…まさかこんな出会いがあるとはな!
015C3
よし!騎士サン、俺、アンタにする!
必ず俺のお菓子で、アンタの全てを手に入れてやるからな!見てろよー!
ま、待てキサマ!このっ…待てぇぇぇーっ!!
オレは…オレはっ、断じてオッサンなどではないぞぉおおお!!

…あ、あの、騎士…先ほどのレザンという天使…
なにやらすごいことを言い捨てていきませんでしたか…?

015D
020A
さっきは失礼な天使のおかげで邪魔が入ってしまったが…
フッ、見ろ!ついに完成したぞ…覇食帝カイザ、究極のチョコレート第一弾…!
《乾燥魔果実の沼風クリームチョコレート~悪魔ニンジンのスパイスを添えて~》だぁッ!!
…ついに完成してしまったのですね…恐怖の魔果実チョコが…。
020A2
致し方ありません…カイザ!まずは…私に味見をさせてください!
ほう!守護神とてこのオレの料理を前にしては、溢れ出る食欲を抑えきれぬか!?
フハハハ、いいだろう!食え、これが究極の味だ!

いただきます…神のご加護のあらんことを!…はぐ…っ、ん、こ、これは…!
どう、アイテールさん…?オイシイ…?
…ふ、ふふっ…うふふふふ…!ええ、とぉっても美味しいですよ、ス・ピ・ネ・さん…♪
020A3
どう?あなたも食べてみますか?ふふっ…さ、こっちへいらっしゃい…お口を開けて?
いい子ね、もっと大きくですよ…ホラ、あーん…。

あ、あーん…?
…待て、さすがにこれはなにか妙だぞ。まさか…ッ、チ、こんなときに魔物か!
オレは忙しいんだ…とっとと片づけるぞ、騎士よ!

020C
うふふっ、さすがの強さですね…それでこそ私の騎士です。
おいでなさい、ご褒美をあげましょう…うふ、うふふ。

ふむ…どうやら先ほどのチョコレートは失敗作のようだな。
強い魔力を秘めた魔果実は心を惑わす、と聞いていたが…
まさか性格にこのような変化をもたらすとはな。フッ…実に興味深い!
アイテールさん、なんだか…その…セクシーな人に、なっちゃったね。
020C2
あら…嬉しいことを言って下さるのね、スピネさん。
ふふ…ああ、なんだかとってもいい気持ち…解放的な気分です!
騎士、このままあなたの手を取って、どこまでも高く昇っていけそう…
ふふ、そんな気分ですよ…。

…まあ、あの守護神なら放っておけばそのうち元に戻るだろう。
騎士、適当に相手をしてやれ。
それにしても、魔果実…想像以上の力だ…!フハハハハハハ!!それでこそだ!!

025A
騎士…お願いです、こんな私を見ないでください…
あなたの前であんな姿を晒してしまって…私はいったい、どんな顔をすれば…。
フハハハ!そう気を落とすな!むしろ誇れ、守護神アイテールよ!
貴様は覇食帝の究極チョコ完成のために、尊い犠牲となることができたのだからな!

ねえ、みんな…ちょっと、こっちに来てくれる…?
うん?どうかなさいましたか?
って…スピネさん…?あの、もしや、その手にお持ちになっているのは…ち、チョコレート…ですか…!?
025A2
うん…さっきカイザが作っていたのを見て、真似してみたの…これ…味見してもらえる…?
…でしたら…カイザ、お願いいたします。
ぬ!?なぜこのオレが小娘の作ったチョコの味見など!
あら、あなたは覇食帝とも呼ばれた方なのでしょう?
でしたら魔果実チョコの一つや二つ…口にしていない方がおかしいのでは?

025A3
なるほど…それは…一理あるな!フッ、いいことを言うではないか、守護神!
さあ小娘、チョコをよこせ!このオレが誠心誠意、食べてやろう!

…うまくいきましたね。騎士、私とあなたはこちらで魔物を片づけておきましょう…
これからカイザがどうなるかわからないので!
025C
ふぅ、片付きましたね…スピネさん!カイザの様子はどうですか…?
カイザ、泣いてる…。
…はい?
食べて、しばらくしたら泣き出しちゃったの…でも、カナシイ?って聞いたら違うみたいで…。
025C2
ううっ、ぐふぅっ…マズい…とてもではないが食えたものではない…
だが、どうしてこんなにも懐かしい気持ちになるのだ…!
これは、もしや母の味…?ああ…砂糖と小麦粉の違いが
最後までわからなかった我が母よ!このギトギトした歯触り…全てが懐かしい…!
グスッ…大丈夫だよ母さん…ボクが…ボクが代わりに台所に立つからね…!
きっと…美味しい料理を母さんに…うっ…うおおおお!!

025C3
…よ、よくわかりませんが…とりあえず、今度は食べたものを
泣き虫にしてしまうチョコだった、ということですね…?

そうみたい…難しいね、魔果実チョコ…。
030A
やあ、騎士サン!やっと見つけたぜ!
あなたは…レザン…!何を、しに来たの…?
おっとごめんな、お嬢ちゃん。俺は騎士サンのほうに用があるんだ…見てくれ!
ヘヘッ、魔果実を使ったチョコだ!俺の手作りだぜ!スゴイだろ!
030A2
手作りチョコ、だと…?フッ、フフ、フフフフフ…天使よ!
現在それは、オレたちにとって非常にデリケェェトな話題だぞ…!今は特に、オレにとってはなァ!
あ、カイザ、正気に戻られたんですね。…と、いいますか…。
レザン、それはなんですか…?その、手に持っているのは…食べ物ですか?
えっ?呪具とかではなく…?

030A3
ひでぇなぁ、守護神サンは!確かに十秒以上臭いを嗅ぐとクラクラするし、
耳を近づけると変な呻きが聞こえるチョコだけどさ…。
でも頑張って作ったんだぜ?騎士サンが俺に振り向いてくれるようにって
魔果実もたーっぷり入れたんだ!食べてくれるよな、騎士サン!

そんなよくわからないもの…騎士さまに食べさせるわけには、いかない…!
030C
ああっ、チョコが逃げちまった…!くそっ、ひでぇことしやがる!
おーい待てよー、俺のチョコー!!ちゃんと騎士サンに食べてもらえってばー…!

あのチョコ…チョコ…?
とにかくレザンの持っていたアレ、ずいぶん太い足が生えていましたね…。
030C2
なんだか、すごく強そうだったね…
レザンじゃなくてあっちと戦ってたら、ちょっと苦戦してた、かも…。

ふむ。料理の腕は壊滅的もいいところだが…
魔物を生み出す才能でもあるのかもしれんな、ヤツには。

ええと…とにかく、彼はちょっと危険ですね。騎士、どうか気を付けてくださいね…?
030D
035A
ああ、できてしまいました…スピネさんやカイザたちを見ていたら、
つい手が動いてしまって…いえ、でもこれを騎士に渡すわけには…!
アイテールさん…?どうしたの…?
ひゃあ!?す、スピネさん!こ、これはその…!
035A2
それ…魔果実のチョコレート?アイテールさんが作ったの…?騎士さまに、渡すため?
ちちち違いますっ!いえ違いませんけど、でも違うんです!
私は農場を元に戻そうとしているだけで、決してその、そういうのでは…!
そうなの…?じゃあ、食べてもいい?おいしそうにできてるから…。
えっ!?いえ、でもこれは魔果実の…って、あっ、す、スピネさん!
…ぱくっ。
あああっ、スピネさんが…!!し、しかもこんなときに魔物!?
もうっ、それどころではないというのに…!!

035B
ハアハア…す、スピネさん!!平気ですか!?何か変わってしまったところはありませんかっ!?
…だっこぉ…。
…えっ?
035B2
あー、ぅー…あい、てーりゅ。あいてー、りゅー…だっこ、だっこ、してー…?
こ、れは…非常に傷の深そうなことに…!
スピネさん!スピネさん、正気を取り戻してください!
あなたは赤ちゃんではなかったはずです…!

035B3
むうぅ、だっこ、だっこぉー…ふぇ…ぐすっ…。
わわ、な、泣かないでください!
はーいだっこしてあげましょうね、よしよーし…
き、騎士!あなたもちょっと手伝ってください!

035B4
き、しー…?きし…えへへ、きし、さまぁ…えへ、えへへぇ…。
わぁ、にこにこしてますね、スピネさん。
ほら騎士、あなたの手をにぎにぎして、とっても可愛らしい…
はっ…で、ではなくて!…魔果実チョコ、本当に恐ろしい効果ばかりですね…。

040A
よう騎士サン!…なんだか会うたび周りのヤツらの元気が
なくなっていってるみたいなんだが…ま、騎士サンが元気そうならいっか!
レザン…何を、しに来たの…?
うおぉっと!?…え、のっけから本気すぎねぇ!?俺まだ何もしてないのに!
040A2
スピネさんは今、非常にご機嫌斜めなんです…!
それに、大人しく投降しに来たわけでもないのでしょう!?レザン!

当たり前だろ!騎士サンを諦めきれるわけがないからな!
だけど今回の俺は一味違うぜ…見ろ、農場の奥でこんなものを見つけたんだ!

む?それは…カカオか…?…いや、違うな。その輝きはもしや、伝説の…聖なるカカオか!?
040A3
神も魔も人も関係なく、ひと口食べさせればたちまちその者を自分の虜にできるという…
農場にはそんなものまで隠されていたのか!

もしや…農場の果物たちが魔果実化したのは、聖なるカカオの発する魔力のせいでは…!?
れ、レザン!それを渡しなさい!
040A4
嫌だね!これさえあれば、もう料理なんてできなくたって関係ねぇ!
チョコがうまかろうがまずかろうが、騎士サンは俺のものってことだ!

…っ!あなた…!
まずくてもいいだなんて、なんてことを!
そんなことを仰る方の食べ物を、騎士の口に入れさせるわけには参りません…!絶対に!
040B
イッテテテ…な、なんだよ守護神サマ、いきなり!

…確かに、魔果実なんて恐ろしいものをチョコの材料に選んでしまうあたり、
カイザさんもスピネさんも…そして私も、めちゃくちゃです。
おかげで三人ともある意味消えない傷を負いましたし、
騎士にもたくさん迷惑をかけてしまいました。…でも!
040B2
それでも…
私達みんな、食べてもらう人に美味しいって思ってもらえるよう、一生懸命だったんです!!
…美味しいって、思ってもらえる、ように…?
フ…料理とはすなわち、他人の口に入るもの…見た目で、香りで、
そして無論味でも相手を楽しませる…唯一無二のショウなのだ!!
その意識を欠いているようでは…確かに、キサマの作ったものなど、口にするに値せんな!フハハハハ!!
040B3
私…料理はそんなに得意じゃないけど…
でも、ヴァンピィたちに、騎士さまに喜んでもらいたいって気持ちは、いっぱいあるの…。
だから…うまくできなくても、ちゃんと頑張らなくちゃって…
おいしくなるようにいっぱい考えなくちゃって、思ってるよ…!
…なんだよ…わかんねぇよ。わかんねぇよ、そんなの!
あっ、レザン!聖なるカカオを渡して…!ああ…行ってしまいました…。
040D
045A
騎士サン。俺、天界ではずっと閉じ込められててさ…一人ぼっちだった。
他者と関わらない…それがオレら一族の昔からの掟だったから。
誰かと仲良くなったことも…もちろん、
好きになったり好きになってもらったりしたこともねぇ。…だから、オレは天界を飛び出した!
誰にもオレを見てもらえない、寂しい生活なんてゴメンだ!
オレだって誰かと仲良くなりたいし、誰かに愛されたかった!
045A2
だけど、どうしたらいいかわからなかった…
オレに思いつくのは、魔果実とか聖なるカカオとかで、ムリに相手の心を変える方法ばっかだ。
でもそれじゃダメなのか?じゃあどうしたらいい?
どうしたら、騎士サンはオレを見てくれるんだ?なんで他のヤツらは騎士サンといられるんだ?
一人ぼっちだった俺には…全然わかんねぇんだよ!!

045C
へへ、騎士サンの拳、いてぇなぁ…。
でも、なんでだろう…殴られたってのに、イヤな気持ちなんて全然しないんだ…。
そうだ…俺だってわかってるんだ。食べ物とか魔法とかで
無理やり相手の心を変えて振り向かせたって、空しいだけだって。
045C2
きっと、俺のじーさんも…あの女悪魔だって、それをわかってたから…
いや、ごめん。これは騎士サンに関係ない話だったな。
だけど…悪ィな、こんなの間違ってるし空しいだけだってわかってるけど…
それでも俺、騎士サンのことが諦められないんだ!
だから、聖なるカカオは渡せない。渡してほしかったら…力づくで奪いに来てくれ!

045D
050A
結局、レザンには聖なるカカオを奪われたままになってしまいましたね…。
あんなに危険なもの、手にさせておくわけには…!

危険なもの…そう、なのかな…?
ほう?面白いことを言うな、小娘。
キサマはあの人心どころか神々や魔族をも容易く惑わせてしまう実を、全く恐れぬというのか?
050A2
そうじゃない、けど…でも、感じたの。
聖なるカカオに詰まった…サミシイ、イヤダだけじゃない…奥の方に隠された、あったかい気持ち。
聖なるカカオを作った人は…確かに、方法は間違っていたかもしれないけど…
でも、本当に相手と一緒にいたいって…ずっとずっと愛し合っていたいって…
そんな気持ちで、いっぱいだったんじゃないのかな…。

050A3
…なるほど。強い想いは時に恐ろしきものに姿を変え、
大切な相手にすら牙を剥く危険なもの…
だが、それがひたすらに相手を想う深い愛情であったことには変わりがない。
…そういうことか。
050A4
フム…ならば、カカオの中で暴走し、
歪んでしまった強い想いを元の形に戻すことができれば…あるいは…?
…面白くなってきたようだ。まあ、どちらにせよあの天使を
追わねばならんことに変わりはない…邪魔者は排除させてもらう!
050C
カイザ…あなた、なにを企んでいるのです?
愚問だな、守護神よ。オレは覇食帝カイザ!料理に始まり、料理に尽くし、そして料理に死す男だぞ?
無論、究極のチョコレート完成を目指しているに決まっているではないか!フハハハハハ!!

まさか…聖なるカカオを材料に使うおつもりですか!?いくらなんでも危険すぎます!
今度ばかりは性格が変わる程度では済みませんよ!?
050C2
フッ、このカイザも見くびられたものだ…
オレに料理できない食材など、この世に存在せんッ!!断じて!ナァァァァッシング!!
それに…そこの小娘が、良い可能性を示してくれたからな。
え…私…?
050C3
さあ行くぞ小娘、守護神、そして騎士よ!
このカイザと共に来い…キサマらに、新たな料理の地平を見せてやろう!!
フハハハハハハハハハッ!!

01
フハハハ!見つけたぞ、天使よ!さあ、聖なるカカオを渡せ!
02
ちえっ…追いつかれちまったか。
わかったよ、カカオは渡すよ。こんなもの…何の役にも立たないしな。
俺も…そして俺のご先祖サマも、初めから全部間違ってたんだ…。
相手のことを、想い始めたときから…。

03
フ…それはどうかな?
おい小娘、カカオの加工を手伝え!
キサマはアーティファクトとやらを自在に操れるのだろう?
え…?うん、そうだけど…。
そのアーティファクトとやらで、キサマの感じたカカオの奥に封じられた真の想いを取り出せ!
守護神もだ!ぼけっとしていないで小娘を手伝うがいい!
私ですか!?し、しかし…。
キサマは言ったな、美味しいと思ってもらえるよう自分たちは必死なのだと。
04
ならばその必死さをここで見せろ!
キサマら二人の想いの強さとやらで聖なるカカオの呪いを解くのだ!

カイザさん…。
わかりました…スピネさん!私と一緒に、やってみましょう…!
う、うん…!やってみる…!!
カカオの呪いを、解くだって…?まさか、そんなことが…!
05
06
07
感じる…カカオに隠された、すごく温かな気持ち…。
08
とても強くて、切実な…相手のことを想う気持ち…!!

09
ここだッ…!!





さあ、我が料理を見るがいい!これぞ、我らが究極の新メニュー…





10
セント・カカオ・チョコケェェキッ!

11
これは…えっと…普通の、チョコケーキ…?
しかし…なんでしょう…見ていると、とても温かい気持ちに…優しい魔力の波動を感じます…!
でも、それだけだ!心が変えられる呪いなんかかかってない…!!
どうして聖なるカカオからこんなお菓子が作れたんだ…!?

12
…レザン。確かにあなたの祖先は過ちを犯しました。もちろん、あなた自身も…。
だけど…強く人を想うこと自体が間違いだなんて、思わないの…。
大事なのは、それをどう扱うか…。

13
良き扱いを心得ていれば…聖なるカカオとて、相手を喜ばせる極上の食材に成り得るのさ!
フハハハハハハハ!!

14
お前たち…!そうか…そうだよな…!
ありがとうオッサン、お嬢ちゃん、それに守護神サマ!俺…俺、目が覚めたよ!
良かった…!では、レザン。もう食べ物で騎士の心を変えようとは考えないでくれますね?
ああ、もちろんだ!俺はもうそんなことしない…
正々堂々!俺だけの力で、騎士サンを振り向かせてみせるぜ!
15
えーっと、そのためにはまず…そうだ、魅了の魔法だな!よし、最強の魅了魔法を覚えるぞ!

っつーワケで、騎士サン!ついでに守護神サマとお嬢ちゃん、オッサンも!また会おうな~!
ちょっ…レザン!?待ちなさい!あなた結局方法が間違って…!
あ…行っちゃった。風の天使って、素早いね…。
16
フ…騎士よ、これは気が抜けんな。まあ、これでも食って力をつけろ。
そ、そうですね…ともあれ、美味しいチョコケーキを作ることはできましたし…。
騎士さま…頑張って作った、チョコケーキいっぱい、食べてね…。
17
ハッピーバレンタイン!

18


この記事は下記記事の再掲です。(開催期間:2015/02/07~02/13)